アフリカで英語が通じる国は?英語圏拡大の歴史的背景も解説

アフリカ旅行やビジネスを考えている人にとって、「英語は通じるの?」って大事なポイントですよね。実は、アフリカ大陸には英語が公用語または広く使われている国が20カ国以上あります。

 

「えっ、そんなに!?」と思ったかもしれませんが、それにはちゃんと歴史的な理由があるんです。

 

ここでは、アフリカで英語が使える国と、その背景にある植民地支配・教育政策・国際化などをわかりやすく解説していきます!

 

 

英語が公用語または主要言語の国

アフリカ大陸における英語を公用語とする国々を示した地図。オレンジ色で塗られた地域が該当する

出典:Wikimedia Commons / Public domainより

 

以下は、英語が公用語または教育・ビジネスなどで広く使われているアフリカの国々の代表例です:

 

北アフリカ英語圏

北アフリカでは英語はあまり主流ではなく、公用語として使っている国はありません。主にアラビア語フランス語が中心です。

 

西アフリカ英語圏

 

こちらの西アフリカ諸国では、英語が公用語になっていて、学校や政府の場では英語が使われています。ただ、ふだんの生活では地元の言葉を話す人がとても多いです。たとえばナイジェリアではヨルバ語やハウサ語、イボ語などが、ガーナではツイ語やエウェ語なんかが話されています。

 

だから英語は、人々がちがう民族や地域をこえて会話するための共通語として使われているんですね。都市部では英語がよく通じますが、地方に行くと地元の言葉のほうが強いこともあるんです。

 

中部アフリカ英語圏

中部アフリカでは、カメルーンが、英仏の統治領だった背景から、英語とフランス語の両方が公用語です。ただし、英語圏の地域は少数派であり、近年はそのことで社会的な緊張もあります。

 

東アフリカ英語圏

 

東アフリカの国々では、英語が広く使われています。ケニアやウガンダ、タンザニアでは公用語として、学校や役所、ビジネスの場などで英語が使われているんですよ。

 

ただ、この地域ではスワヒリ語もとても大切な言葉で、特にタンザニアでは第一公用語になっています。

 

だから、多くの人が英語とスワヒリ語の両方を話せるんです。都市では英語が通じやすいですが、地方に行くと現地の言葉が使われることも多くて、多言語が当たり前の文化になっているんですね。

 

南部アフリカ英語圏

 

南部アフリカでも、英語はとても大事な言語なんです。上記の国々では英語が公用語として使われていて、学校の授業やニュース、政府の手続きなんかも英語で行われています。

 

ただし、どの国もたくさんの民族と言語を抱えているので、家では現地語を話す人も多いんです。たとえば南アフリカには、ズールー語やコサ語みたいな11の公用語があるんですよ。

 

だから、英語は人と人をつなぐ共通語としての役割が強いんですね。都市では英語がよく通じますが、地方では現地語がメインのことも多いです。

 

島しょ部(インド洋)英語圏

 

インド洋にあるアフリカの島しょ部、たとえばセーシェル、モーリシャス、コモロ、マダガスカルなんかでも、英語はけっこう大切な役割を果たしているんですよ。モーリシャスやセーシェルでは英語が公用語のひとつになっていて、学校や政府関係では英語が使われています。ただ、実際の生活ではフランス語やクレオール語がもっとよく話されていたりもします。

 

コモロではアラビア語も重要ですし、マダガスカルではマダガスカル語が主に使われています。だからこの地域では、英語は第二言語として学ばれていることが多くて、観光や国際交流の場で活躍することが多いんですね。

 

他にも、英語が法律・教育・国際交流などで使われている国は多数。つまり、アフリカの英語話者人口は実は世界でもトップクラスなんです。

 

 

なぜ英語がこんなに広がったの?歴史的背景とは

統一南アフリカの総督到着を祝うケープタウンを描いた『Holiday Time in Cape Town in the Twentieth Century』。イギリス帝国の理想的な植民地像を表現している。

出典:Photo by James Ford / CC BY-SA 4.0より

 

アフリカで英語が広まった最大の理由は、イギリスによる植民地支配です。

 

19世紀〜20世紀初頭、イギリスは「アフリカ分割」と呼ばれる列強による植民地化の中で、 ナイジェリア、ケニア、ウガンダ、ガーナ、ザンビアなどを支配下に置きました。

 

その際、行政や教育、裁判などの公的機関では英語が標準語として使われるようになります。

 

つまり――

 

  • 学校=英語で教える
  • 政府の書類=英語で作る
  • ビジネス=英語が共通語

 

という構造が出来上がり、独立後も英語が“便利な共通語”として残ったんです。

 

独立後も“多民族国家”ゆえに英語が必要だった

アフリカの国々は、国境線がヨーロッパ列強の都合で引かれたため、 一つの国内に複数の民族・言語が混在しているのが普通です。

 

たとえばナイジェリアには250以上の民族語があり、「国内の共通語として誰の言葉を使うか?」という問題がありました。このときに、“中立な外来語”としての英語が便利だったんですね。

 

つまり、英語は「植民地の遺産」であると同時に、民族間の調整役としても機能したわけです。

 

グローバル化とIT時代でさらに強まる“英語力”

近年では、英語は教育・ビジネス・国際交流・ITの分野でますます重要視されています。

 

  • ケニア・ナイジェリアではITスタートアップの公用語は英語
  • アフリカの大学の多くは英語で授業を行う
  • 英語で情報を発信するユーチューバー・SNSインフルエンサーも増加中

 

こうして、英語は“支配の言語”から“可能性を広げる言語”へと、その位置づけが変わりつつあるのです。

 

英語だけじゃない、多言語が生きる大陸

ただし、アフリカでは英語一辺倒ではないというのも大事なポイント。

 

  • ナイジェリアでは英語とピジン・イボ語・ヨルバ語
  • ケニアでは英語とスワヒリ語
  • 南アフリカでは英語に加えズールー語・アフリカーンス語など

 

地域や場面によって複数言語を使い分ける“マルチリンガル社会”であることが、アフリカの大きな特徴です。

 

アフリカで英語が通じる国が多いのは、植民地時代の影響だけでなく、多民族国家における“中立な共通語”としての役割、そして国際化に適応するための選択でもあるんです。

 

英語を話しながら、地元の言葉も大切にする・・・そんなバランス感覚が、アフリカの人々の知恵なのかもしれませんね。