
アフリカ大陸を地図で見たとき、ど真ん中にズドンと広がっているのがサハラ砂漠。実はこの巨大な砂漠を境に、アフリカは「サハラ以北(北アフリカ)」と「サハラ以南(サブサハラ・アフリカ)」というふうに、大きく二つに分けて考えられることが多いんです。
じゃあ、その「南」と「北」、具体的に何が違うのか?この記事では、地理・歴史・宗教・文化・経済といった観点から、サハラ砂漠を境に変わるアフリカの“顔”を比較してみましょう。
北アフリカは、サハラ砂漠やその周辺の乾燥地帯、さらに地中海性気候に属する沿岸地域で構成されています。雨が少なく、乾燥した気候が主流。モロッコ、アルジェリア、エジプトといった国々が含まれます。
一方サハラ以南のアフリカは、赤道をまたいでいるため熱帯雨林やサバンナが広がり、年間を通じて降水量も多め。緑豊かな大地が目立ちます。ナイジェリア、ケニア、南アフリカなどがこのエリアに含まれます。
北アフリカではアラブ系・ベルベル系の人々が多くを占めています。見た目や言語、文化的背景は中東に近く、「アラブ世界」の一部として見なされることもあります。
それに対して、サハラ以南はブラックアフリカ(黒人アフリカ)とも呼ばれ、バントゥー系、ニロート系、スーダン系などさまざまなアフリカ固有の民族グループが広がっています。民族数はざっと2,000以上とも言われるほど多様です。
宗教面でもくっきり分かれます。北アフリカは圧倒的にイスラム教徒が多く、モスクやアラビア語の文化が根付いています。これは7世紀以降、アラブ人がこの地域に広がった歴史と深く関係しています。
一方サハラ以南ではキリスト教と伝統宗教が入り混じっています。西アフリカや東アフリカの沿岸部ではキリスト教が優勢で、内陸や農村部では精霊信仰・祖先崇拝などの土着宗教も今なお根強く残っています。
北アフリカはアラビア語・フランス語(旧フランス領)が主流で、言語分布も比較的まとまりがあります。また音楽や食文化なども、地中海・中東文化とかなり近い傾向があります。
一方でサハラ以南は多言語社会のかたまり。ナイジェリアだけでも250以上の言語が話され、地域ごとに全然文化が違うんです。しかも植民地支配の影響で英語・フランス語・ポルトガル語などが共通語として使われているので、伝統と外来の文化がミックスされた独特の空気感があります。
北アフリカは地理的にヨーロッパとの距離が近く、経済的にも政治的にも中東やEUとの関係が深いです。石油や天然ガスなどの資源が豊富で、比較的インフラも整備されている国が多いです。
一方サハラ以南は、かつての植民地支配の影響を引きずっていて、今も国際援助に依存する国が多く、経済格差や貧困問題が大きな課題となっています。ただし、ナイジェリアやケニア、南アフリカのように急成長中の経済国も増えてきていて、“アフリカの未来”はこの地域にかかっているとも言われています。
サハラ砂漠は、ただの自然の障壁ではなく、文化・宗教・経済・言語といったあらゆる面で“境界線”のように機能してきました。でも最近では、この「南」と「北」の間にも新しい交流やつながりが生まれつつあります。アフリカを理解するときは、この違いと、それを超える動きの両方を押さえておくのがポイントなんですね。