アフリカの子供の多くが栄養失調なのはなぜ?

アフリカの子どもたちの写真や映像で、やせ細った体や腫れたお腹を見たことがある人もいるかもしれません。実際、アフリカでは5歳未満の子どもの3人に1人が栄養不良と言われていて、特にサハラ以南の地域で深刻な問題になっています。

 

でも、「なぜそんなに栄養が足りないの?」という疑問には、単に「ごはんが足りないから」だけじゃない、いろんな理由が隠れているんです。

 

ここでは、アフリカの子どもたちが栄養失調になってしまう背景を5つの視点からわかりやすく解説します!

 

 

1. 食料はあっても“栄養が偏っている”

「お腹いっぱい食べられれば栄養失調にならない」と思いがちですが、実はカロリーがあってもビタミンやたんぱく質が足りない「隠れ栄養失調」も多いんです。

 

たとえば、主食が――

 

  • とうもろこしがゆ(ウガリ)
  • キャッサバ(芋)
  • 白米

 

といった炭水化物中心になりがちで、野菜や肉、豆、卵などの栄養源が不足しやすいんですね。

 

結果、成長に必要な鉄分・ビタミンA・亜鉛・たんぱく質などが不足して、子どもたちの発育に影響が出ます。

 

2. 雨が降らず、作物が育たない

アフリカでは気候変動による干ばつが頻発していて、農村部では「雨が降らない=食べ物が育たない=家族が食べられない」という連鎖的な危機が起きやすくなっています。

 

たとえば――

 

  • 東アフリカ(エチオピア・ケニア・ソマリア)は近年で最悪レベルの干ばつ
  • 農家の収穫が激減し、市場に出回る食料も高騰
  • 特に子どもや妊婦が真っ先に影響を受ける

 

つまり、自然が不安定になることで“食べ物があたりまえにある”という前提が崩れているんですね。

 

3. 病気によって栄養が吸収されない

子どもたちが下痢、マラリア、寄生虫感染、肺炎などにかかると、せっかく食べても栄養がうまく吸収できなくなることがあります。

 

また、病気そのものが食欲を奪ってしまうというケースも多いです。

 

特に――

 

  • 安全な水が手に入らないために水系感染症が多発
  • 栄養不足→病気→さらに栄養不足、という悪循環

 

こうして、食べても回復しない状態が続くと、命に関わる重度の栄養失調になってしまうんです。

 

 

4. 医療と教育の“届かなさ”

「どう食べさせたらいいのか」「いつ病院に行けばいいのか」がわからない、という情報・知識の不足も、栄養不良の大きな原因です。

 

  • 母乳や離乳食の与え方を正しく知らない
  • 病院に行くお金がない、あるいはそもそも近くに病院がない
  • 栄養指導や定期健診を受ける機会がない

 

つまり、栄養失調は「家庭だけの問題」じゃなく、「社会の支えが届かない問題」でもあるんです。

 

5. 紛争や避難による“食の断絶”

戦争や武力紛争、避難生活なども、子どもたちの栄養状態を悪化させる大きな要因です。

 

たとえば――

 

  • 農地や家畜が奪われてしまう
  • 家を追われてキャンプ暮らしになり、栄養のある食事が手に入らない
  • 母子がバラバラになって十分な育児ができない

 

今もスーダンやコンゴ、南スーダンなどではこうした状況が続いていて、 命を落とす子どもの主な死因のひとつが“栄養不良”となっている国もあるんです。

 

アフリカの子どもたちが栄養失調に陥る背景には、貧困、気候、病気、教育、そして紛争と、さまざまな要因が複雑に絡んでいます。
ただ“食べる量が足りない”だけじゃなく、健康に育つための社会全体の土台が足りていない。だからこそ、食料支援だけでなく、教育・医療・インフラへの支援や共感が、未来を変える大きな一歩になるんですね。