
人類が最初に音楽を奏でたのは、もしかしたらアフリカの大地だったかもしれません。というのも、アフリカには数千年にわたって培われてきた音楽の伝統があって、それが今でも人々の暮らしの中で息づいているんです。
たとえば誕生や結婚、農作業、祈り、戦い――あらゆる場面に音楽が“当たり前にある”。しかも、それがただの娯楽じゃなくて、「生きること」とがっちり結びついているのがアフリカ音楽のすごいところなんです。
そして面白いのは、その伝統がアメリカのジャズやヒップホップ、ブラジルのサンバ、キューバのルンバなど、世界中の音楽に大きな影響を与えていること。
じゃあ、そんなアフリカ音楽の「らしさ」って、いったい何なのか?この記事では、アフリカ音楽を特徴づける3つの要素に注目して、その魅力を探っていきます!
2012年、ガーナで開催された健康フェアでドラムを演奏する男性たち
出典:Image by USAID Africa Bureau (Kasia McCormick) / Public domainより
アフリカ音楽といえば、なんといってもリズム。でもそのリズム、ただの「タン・タン・タン」じゃないんです。
たとえばある太鼓が「ドン・ドン・ドン」と3拍子で叩かれている一方で、別の楽器が「タン・タン・タン・タン」と4拍子で進んでいく…って感じで、いくつものリズムが同時に重なっているんですね。これをポリリズムと言います。
一見バラバラなようでいて、聞いていると不思議とまとまりがある。それどころか、身体が勝手に動き出しちゃうくらい気持ちいいんです。
これはアフリカ音楽の超・特徴的なところで、後のジャズやファンク、アフロビートにも大きな影響を与えました。
アフリカ音楽では聴く人=演奏者って感覚があるんです。どういうことかというと、たとえば歌う人が「オーエーオー!」って声を上げると、周りのみんなが「イエーイ!」って返す。これがコール&レスポンス。
つまり「問いかけ」と「応答」のかたちで、音楽が作られていくんです。
ステージと客席っていう壁がなくて、そこにいるみんなで音楽を“共有”するのが基本なんですね。
このスタイルも、のちにゴスペルやブルース、R&Bなんかのルーツになっていくので、今の音楽の中にもちゃんと生きてるんですよ。
アフリカの音楽は、「決まった曲を正確に再現する」というよりも、「今この場で、どう演奏するか」が大事なんです。だから即興性がすごく高い。
たとえばドラムの人がちょっとテンポを変えたり、ダンサーが新しい動きを入れたりすると、それに合わせて歌やメロディもグイっと変化していく。
それがまた、めちゃくちゃ生き生きしてるんですよ。
これは単なるテクニックじゃなくて、その場の空気や感情、自然のリズムと対話する感覚。まさに「生きた音楽」って感じですね。
アフリカ音楽の魅力って、ただ聞くだけじゃなくて、「参加する」「感じる」「揺られる」っていう体験にあるんですね。リズムの重なり、声の掛け合い、即興のエネルギー――その全部が、人と人、人と自然をつなぐ“音の言葉”になってるんです。