
アフリカ中部に広がるコンゴ盆地――この地域は、世界でも有数の熱帯雨林地帯として知られています。実はこの巨大な森と湿地の広がりが、アフリカ全体の気候システムに大きな影響を与えているんです。コンゴ盆地をただの“緑の広場”と侮るなかれ。その存在があるかないかで、アフリカ大陸の降水パターン・温度・水資源の流れまで変わってしまうほどなんです。
ここでは、そんなコンゴ盆地がアフリカの気候に与える主要な影響を、5つの視点からわかりやすく解説していきます。
コンゴ盆地の熱帯雨林では、日中の太陽熱によって大量の水分が植物から蒸発・蒸散します。これが空気中の水蒸気となって雲を作り、午後には激しいスコール(熱帯性の雨)となって降り注ぎます。
このサイクルが1年を通して繰り返されることで、盆地周辺は年間降水量2,000〜3,000mmという“世界有数の雨の多い地域”になっているんです。そしてこの水蒸気は周囲の地域にも移動し、広範囲の降雨に貢献しています。
コンゴ盆地からはコンゴ川という大河が流れ出ており、これはアフリカで2番目の長さ・最大の流量を誇る水系です。この川は中央アフリカ一帯の生活用水・農業・漁業・発電など、あらゆる分野を支える命綱です。
特に乾季にも一定の水量を保つことができているのは、コンゴ盆地の森林が“水の貯蔵庫”として機能しているから。森林が雨水を一気に流すのではなく、地中に蓄えて徐々に川に放出しているんですね。
広大な森は太陽光を吸収して温度を調整する役割も果たします。アスファルトや砂地と違って、植物に覆われた地面は気温の急激な上昇を抑える効果があり、これが中部アフリカの温暖湿潤な気候をつくり出しています。
もしこの森林が大規模に失われたら、地面は急激に乾燥し、気温も上昇。地域全体がサバナやステップへと変化し、サハラ砂漠のような乾燥帯が南下する可能性もあると指摘されています。
盆地内で発生した水蒸気や雲は、大気の流れに乗ってサヘル地域(北)やザンビア・アンゴラ方面(南)へ移動します。これがアフリカ中部以外の雨季の到来にも間接的に関与しているとされていて、気候研究者たちにとっても重要な“モイスチャーハブ(湿度の起点)”なんです。
この湿気がなければ、周辺地域の雨季が不安定になるリスクがあり、実際に森林伐採が進んだ地域では降水量の減少が観測されているケースもあります。
熱帯雨林は大量の二酸化炭素を吸収する“炭素の貯蔵庫”としても機能しており、地球規模の気候安定にも貢献しています。コンゴ盆地は南米のアマゾンに次ぐ“第二の肺”とも呼ばれるほど。
しかし近年、違法伐採や鉱山開発、農地拡大が急速に進行し、森林破壊が深刻化。このままでは気候のバランスを保ってきた機能が崩れ、乾燥化や豪雨、極端な気候変動が加速するリスクがあると警鐘が鳴らされています。
コンゴ盆地は、単なる“緑のエリア”じゃなくて、アフリカ全体――いや、地球規模の気候バランスを保つうえで欠かせない存在なんです。だからこの森を守ることは、環境問題とか自然保護を超えて、“私たちの未来の天気”にまで関わってくるテーマなんですね。