
アフリカといえば「砂漠」のイメージが強いですが、実はひと口に砂漠といってもその性質や風景、文化への影響はさまざまです。アフリカ大陸には世界最大規模の砂漠がいくつも存在し、どれもが気候だけでなく歴史や人の営みに深く関わっているんです。
この記事では、アフリカにある代表的な砂漠を一覧で紹介しながら、それぞれの位置・規模・気候的特徴・文化的意味・面白い逸話を解説していきます。
世界最大の砂漠として知られるサハラ砂漠。その広さはなんとアフリカ大陸の約1/3。昼間は40度以上、夜は一桁台まで気温が下がる極端な日較差が特徴です。雨はほとんど降らず、年間降水量は100mm未満の地域も。
でも「砂しかない」わけじゃありません。岩石地帯(ハマダ)や礫の平原(レグ)も広がっていて、実は“砂の海”よりもむしろゴツゴツした地形が多いのがサハラのリアル。
文化的にも非常に重要で、隊商交易や遊牧民族(トゥアレグ族など)の活動の舞台でもあり、古くからオアシス都市(ティンブクトゥなど)が文明の中継地として発展してきました。
カラハリ砂漠は、名前に“砂漠”とついているものの、実際はサバンナと砂漠の中間のような地域で、雨がそこそこ降る“乾燥地”なんです。そのため、アカシアの木や草原、動物たちも多く見られます。
特にサン人(ブッシュマン)と呼ばれる狩猟採集民族の暮らしが今も残っており、石器時代以来の文化が受け継がれていることでも注目されています。また、赤みがかった大地と夕焼けの風景は「最も美しい砂漠」とも称され、観光地としても人気です。
ナミブ砂漠は8,000万年以上前から存在する地球最古の砂漠とも言われ、風によって形成された巨大な砂丘が広がっています。中でも有名なのがデッドフレイ(Dead Vlei)と呼ばれる白い塩の平地に黒い枯れ木が突き刺さるような不思議な風景。映画のロケ地としても使われています。
降水量は極端に少ないけど、海からの霧によってわずかな水分がもたらされており、それに依存する珍しい動植物(霧を集める甲虫など)が生息する、進化の宝庫でもあります。
ダナキル砂漠は平均気温が35度を超え、時には50度近くにまで達する、“世界で最も暑く、乾燥した場所”とされます。しかも火山活動が活発で、硫黄ガスや溶岩の噴き出すダロル火山などはまるで異世界のような景観をつくり出しています。
この過酷な地でもアファール族という遊牧民が暮らしており、塩の採掘と隊商交易で生計を立てています。文化的にも“塩が金と同等の価値を持つ”地域として知られ、かつては塩板が通貨として使われていたという逸話もあります。
リビア砂漠はサハラ砂漠の一部ながら、特に“最も乾燥したゾーン”として知られています。降水量は年に数mm〜0mmという異常レベル。植物はほぼ生えず、岩と砂だけの無音の世界が広がっています。
ここではかつて、あの有名なイギリスの冒険家アフリカーナーたちが命がけの探検を繰り返した舞台でもあり、ナチス・ドイツのロンメル将軍が第二次世界大戦で進軍した戦場としても知られています。
アフリカの砂漠は、どこもただ「暑い場所」というだけではなく、それぞれが独自の顔と物語を持っています。自然の厳しさの中に、人々の暮らしや信仰、歴史が深く刻まれているんですね。地形を知ることで、その土地の文化や記憶にも触れることができる――それがアフリカの砂漠の面白さです。