アフリカにおける鉄道の歴史と展望

アフリカと鉄道――あまり結びつかない印象があるかもしれませんが、実はこの大陸にも100年以上の鉄道の歴史があるんです。
ただしその始まりは、人々の移動や物流のためではなく、植民地支配の道具としてでした。

 

今、アフリカではその鉄道が再び注目を集めています。物流の要、都市間の連結、そして未来のインフラへ――。
この記事では、そんなアフリカにおける鉄道の歴史と展望について、わかりやすく解説していきます!

 

 

はじまりは“植民地のためのレール”だった

アフリカの鉄道は、19世紀後半から20世紀前半にかけて、ヨーロッパ列強による植民地経営の一環として敷かれ始めました。

 

目的はただひとつ―― 鉱山や農園から、港まで物資を運ぶこと。

 

たとえば――

 

  • 南アフリカ:金やダイヤモンドの輸送のために建設
  • ケニア・ウガンダ鉄道:イギリスが建設。ナイロビはその途中駅から始まった都市!
  • 西アフリカ:フランスがコートジボワールやセネガルに鉄道を整備

 

この頃の鉄道は地域の人々の暮らしより、宗主国の利益を優先して設計されていたため、 各国の鉄道同士がつながっていない軌道の幅(ゲージ)がバラバラなど、今もインフラ上の課題を引きずっています。

 

冷戦後、衰退と民営化の波

独立後、多くのアフリカ諸国は鉄道を国有化しました。
しかし――

 

  • 車両や線路の老朽化
  • 管理の不備や汚職
  • 道路交通の台頭(バス・トラック)

 

などの理由で、鉄道の多くが赤字続きになってしまったんです。
1990年代には民営化が進められた国も多く、外資が参入したものの、うまくいかず放置される路線も少なくありませんでした。

 

この時期、「アフリカの鉄道=過去の遺産」と見られがちだったんですね。

 

 

そして今、鉄道がふたたび走り出す

ところが近年、アフリカでは再び鉄道の重要性が見直されています。
背景にあるのは――

 

  • 都市の人口爆発(渋滞の解消が急務)
  • 陸の物流をもっと効率よくしたい
  • 環境負荷の低い交通手段としての評価

 

特に注目されているのが、中国が進める「一帯一路」構想に基づいたインフラ投資。
その一環として――

 

  • エチオピア〜ジブチ間鉄道(アディスアベバ〜ジブチ港)
     → アフリカ初の電化高速貨物鉄道として2016年に開通
  •  

  • ナイロビ〜モンバサ間(ケニア)
     → 通勤にも観光にも便利な人気路線
  •  

  • ナイジェリアのラゴス〜カドゥナ高速鉄道
     → 西アフリカ最大の鉄道プロジェクトとして整備中

 

など、続々と近代的な鉄道網が広がってきているんです。

 

“ただの輸送”じゃない、未来をつなぐ鉄道へ

これからのアフリカの鉄道は、ただモノや人を運ぶだけじゃありません。

 

  • 農産物や鉱物を効率よく輸出するための経済の大動脈
  • 地方と都市をつなぐことで、教育・医療アクセスが広がる
  • 観光やビジネスの新しい足としても活用される

 

つまり、鉄道は社会のいろんな可能性を広げる“道”なんです。
今はまだ整備途上の国も多いけれど、数十年後にはアフリカ横断鉄道なんていう夢のプロジェクトが実現しているかもしれませんね。

 

アフリカの鉄道は、かつては“植民地の道具”として始まり、衰退の時期を経て、今ふたたび“未来へのレール”として動き出しています。過去の遺産を活かしながら、新しいインフラへと生まれ変わるその姿に、アフリカが進む道のりと希望が映し出されているんですね。