アフリカにはなぜ独裁政治が蔓延するの?

アフリカの政治と聞いて、「独裁」や「長期政権」といったイメージを思い浮かべる方も多いかもしれません。実際、数十年にわたって政権を維持した大統領や、選挙を操作して権力に居座り続けるリーダーが、アフリカのいくつもの国で存在してきました。

 

でも、「アフリカだから独裁が多い」と単純に考えてしまうのはちょっともったいない。その背景には植民地支配の名残・制度の未成熟・経済的な事情・地域文化など、複雑に絡み合った歴史と現実があるんです。

 

ここでは、アフリカで独裁が蔓延しやすい理由を、大きく3つの視点から解説していきます!

 

 

植民地時代の“トップダウン型支配”を引き継いだから

アフリカの多くの国は、20世紀半ばにヨーロッパの植民地から独立しました。 でもその際に受け継いだ政治システムは、もともと「支配のため」に作られたものだったんです。

 

  • 中央集権で、一部のエリートが全てを決める
  • 地方や庶民の声が届きにくい仕組み
  • “王様”のような強いリーダーに従う文化が強化された

 

こうした政治文化を、そのまま独立後の国家が民主主義的な体制にうまく切り替えられなかったというのが、大きな原因のひとつです。

 

つまり、独立はしたけれど「中身は植民地時代の延長」だった――という構造が、権力の集中を生みやすくしてしまったんですね。

 

民主制度はあっても“選挙が不正だらけ”

アフリカの多くの国には、憲法や議会、選挙制度といった民主主義的な制度が一応は整っています。 でも実際には、それがうまく機能していないケースが多いんです。

 

たとえば――

 

  • 選挙で票の改ざんや買収が行われる
  • 反対候補を逮捕・脅迫して排除する
  • メディアを支配して都合の悪い情報を隠す

 

こうして「見かけだけ民主主義、中身は独裁」という“選挙独裁”とでも呼ぶべき体制が出来上がってしまうんですね。

 

しかも、「安定のためには強いリーダーが必要」と思う国民も少なくなく、民主主義への信頼が根付く前に、独裁が“慣習化”してしまうことも…。

 

 

経済力が政治権力と直結してしまう

もうひとつ見逃せないのが、「政治=お金を手に入れる手段」になりやすいという構造です。

 

アフリカには豊かな資源(石油、鉱物など)を持つ国が多い一方で、その利権が政治家の手に集中している国も少なくありません。

 

つまり――

 

  • 政権を取れば資源収入や国際援助を自由に使える
  • だから絶対に手放したくないという動機が働く
  • 軍や警察、司法を“私物化”してでも権力を維持しようとする

 

こうなると、選挙で負けても「辞める」という選択肢はなく、憲法を変えて再出馬終身大統領化などが繰り返されていくことになります。

 

でも今、“変わろうとしている国”もある

とはいえ、すべてのアフリカ諸国が独裁というわけではありません。

 

たとえば――

 

  • ガーナ:平和的な政権交代を複数回経験
  • ケニア:選挙制度の透明化に向けた改革が進行中
  • ボツワナ:安定した民主主義国家として高く評価

 

SNSやスマホの普及によって不正が可視化されやすくなり若者が政治参加に目覚めてきているという動きも出ています。

 

だからこそ、「アフリカ=独裁の大陸」と決めつけるのではなく、“変わりつつある過程”として見ることが大切なんですね。

 

アフリカで独裁が蔓延しやすいのは、過去の支配の構造、制度の未成熟、経済の利権集中――そのどれもが、歴史と社会の積み重ねによるものなんです。でも今、その重たい構造を変えようとする動きも各地で始まっています。希望は、確かに育ち始めているんですね。