アフリカが砂漠化している理由とは?

アフリカではいま、砂漠が広がりつつある現象=砂漠化が深刻な問題となっています。特にサハラ砂漠の南縁に広がる「サヘル地域」では、農地が干上がり、緑が消え、家畜のエサも水も足りなくなるなど、日々の暮らしに直接打撃を与えています。

 

ではなぜ、これほど急速に砂漠化が進んでいるのでしょうか?その背景には、単なる“気候変動”だけではなく、人間の営み、経済構造、政策の欠陥といった複雑な要素が絡んでいるんです。

 

ここでは、アフリカにおける砂漠化の主な原因を5つに分けてわかりやすく整理してみましょう。

 

 

気候変動による降水量の減少

アフリカの乾燥地域では、ここ数十年で雨の量が減り、雨季の期間も短くなってきています。特にサヘル地域では、1970年代以降、何度も大規模な干ばつが発生しており、これが土地の乾燥と劣化を加速させています。

 

雨が降らないと、草は育たず、土がむき出しのままに。そこに風が吹けば、たちまち砂埃と化して地表を覆うという悪循環。気候変動は、このプロセスを一気に加速させる“きっかけ”を作っているんですね。

 

過放牧と農地の酷使

農業や牧畜が中心の地域では、人口増加による土地の過剰利用が深刻です。牧草がまだ再生していないうちに家畜が草を食べ尽くしてしまう(過放牧)と、土地がどんどん痩せていきます。

 

また、作物を何度も同じ土地で育てると土壌の栄養が失われ、硬くなって水を吸収しにくくなります。これを土地の劣化(land degradation)といい、砂漠化の前段階とされます。

 

 

森林伐採による地表の裸化

薪や木材、農地確保のために森を切り開く行為も砂漠化を招く大きな要因です。木がなくなると地面が直射日光にさらされ、土の水分が蒸発しやすくなり、風で飛ばされやすい“もろい土壌”になってしまいます。

 

特に燃料としての薪の需要が高い貧困地域では、森林伐採が止まらず、それが結果として緑の回復力を奪ってしまうのです。

 

不適切な土地利用政策と開発の偏り

政府や国際機関の政策が農村や乾燥地域を後回しにしてきたことも、砂漠化の進行に拍車をかけています。植民地時代に決められた土地分配の仕組みが今も残り、少数の大規模農園が水を独占する一方で、周辺地域が干ばつに苦しむという構図も少なくありません。

 

さらに、インフラや教育、農業技術の支援が不十分なため、持続可能な土地管理ができないという現実もあります。

 

都市化と人口集中による圧力

都市や村への人口集中も、周辺環境に大きな負担をかけています。急激な都市化で、森林や草地が住宅地や道路に変わり、自然の回復力が奪われるだけでなく、人口に比例して水や資源の消費も加速

 

さらに、周辺の農地や牧草地に“食糧と燃料のための圧力”が集中し、結果として土地が耐えきれず砂漠化してしまうというケースも増えています。

 

アフリカの砂漠化は、「自然現象だから仕方ない」ではなく、人間の活動や社会構造とも深く結びついた問題なんです。気候に合わせてどう暮らすか、どう資源を使うか――そうした選択が未来の大地の姿を決めていく。それが、砂漠化から見える“アフリカのいま”なんですね。