
アフリカと聞いて、「お茶の産地」ってすぐに思い浮かぶ人は、まだ少ないかもしれません。でも実は、アフリカには世界的にも有名なお茶の産地がいくつかあって、紅茶・ハーブティー・伝統茶まで、そのバリエーションはなかなか豊かなんです。
特に注目したいのはケニアと南アフリカ。どちらも「お茶の国」として国際的に知られていて、それぞれまったく異なるスタイルのお茶文化を育んでいます。
この記事では、そんなアフリカのお茶の世界を、代表的な国や産地とともに、じっくり見ていきましょう。
アフリカで最も有名なお茶の産地といえばケニア。実はケニアはインド、中国に次ぐ、世界第3位の紅茶生産国で、輸出量ではトップクラスに入る紅茶大国なんです。
ケニアの紅茶栽培が本格化したのは、20世紀初頭。イギリスの植民地だった時代に、お茶の栽培技術が持ち込まれ、高地に広がるケリチョ高原などで本格的なプランテーションが開かれました。
ケニア紅茶の特徴は――
また、ケニアではCTC製法(Crush, Tear, Curl)と呼ばれる生産方法が主流で、短時間で濃く抽出できる紅茶が主に生産されています。イギリスをはじめ、ヨーロッパや中東、日本など、世界中のティーバッグの中身がケニア紅茶だったりすることも!
さらに近年では、紅茶のフェアトレードやオーガニック認証にも力を入れていて、サステナブルな農業モデルとしても注目されています。
紅茶じゃないけれど、アフリカの“お茶文化”を語るうえで外せないのがルイボスティー。南アフリカの乾燥地帯、特にセダルバーグ山脈周辺でしか育たないこの植物は、実は「お茶」じゃなくてマメ科のハーブなんです。
ルイボスは、土壌と気候が厳しく限定されていて、世界中でここでしか育たないとされている希少植物。
そして、このルイボスから作られるお茶は――
地元では古くから民間療法のお茶として親しまれてきましたが、近年では健康志向の高まりとともに世界的なブームに。
ヨーロッパ、日本、アメリカなどで“ウェルネスティー”として人気が高まり、さまざまなアレンジ商品(ルイボスラテ、ルイボスアイスティーなど)も登場しています。
ちなみに最近では、グリーンルイボス(発酵させないタイプ)も登場していて、よりあっさり・さっぱりした味わいを楽しめるようになってきています。
ケニアでも南アフリカでも、お茶はただの嗜好品じゃありません。実はそれぞれの国の農業経済を支える重要な輸出産品でもあるんです。
ケニアでは、約30万人の小規模農家が紅茶づくりに従事していて、全体の紅茶生産の60%以上が家族経営の農園から来ています。
南アフリカのルイボス農家でも、乾燥地で育てられるこの植物は、他の作物が育ちにくい地域の貴重な収入源になっているんですね。
さらに、これらのお茶産業は女性の雇用にも大きく貢献していて、収穫や加工、販売などの現場で、多くの女性たちが活躍しています。
アフリカにも、世界が注目する「お茶の産地」がしっかりあるんです。ケニアの紅茶と南アフリカのルイボス、それぞれの味わいや背景には、人々の暮らしと土地の力がたっぷり詰まっています。次にティーカップを手に取るとき、ちょっとだけアフリカに思いをはせてみるのも、素敵かもしれませんね。