

「アフリカで社会が一番発展している国は?」と聞かれたら、答えとしてよく挙がるのが南アフリカ共和国です。
もちろん、「発展」の定義は人それぞれ──経済、インフラ、教育、医療、暮らしやすさ、政治の安定などさまざまな要素がありますが、総合力で見ると、今のところ南アフリカが頭ひとつ抜けているのは確かです。
ではなぜ、アフリカの中で南アフリカが「一歩先を行っている」と言われるのか?その理由を、社会のいろんな側面から見ていきましょう!
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シシェン鉱山の鉄鉱石運搬列車の積み込み(南アフリカ)
世界有数の露天掘り鉄鉱石鉱山で積み込み作業が行われている。鉱業が輸出と地域雇用を牽引する南アフリカの基幹産業であることを示す一枚。
出典:『Sishen Mine ZA 2008 Q』-Photo by Graeme Williams, Media Club/Wikimedia Commons CC BY-SA 2.0より
南アフリカは、アフリカ大陸第2位の経済大国(※ナイジェリアに次ぐ)で、鉱業・製造業・農業・サービス業など、産業構造がとてもバランスよく発展しています。
特に有名なのは──
首都プレトリアや経済都市ヨハネスブルグ、観光都市ケープタウンでは、高層ビルやショッピングモール、近代的な鉄道が整備されていて、「え、ここアフリカ!?」と驚くほど。

ウィットウォーターズランド大学のグレートホール(ヨハネスブルグ)
南アフリカの学問を象徴する講堂で、正面の階段状広場が学生の集いと式典の舞台になっている。
出典:『Great Hall University Witwatersrand』-Photo by Christophe Hendrickx/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
南アフリカには、アフリカ屈指の大学や研究機関があります。
たとえばケープタウン大学やウィットウォーターズランド大学(通称「Wits」)などは、アフリカ大陸の学問の中心とも言える存在です。
また、医療面でも専門医・大規模病院・緊急搬送体制が比較的しっかりしており、アフリカ諸国から南アフリカに“医療ツーリズム”で治療に来る人も少なくないんです。
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アパルトヘイト博物館の分離入口
白人用と非白人用に分けた入口展示が人種隔離政策の仕組みを可視化し、南アフリカのアパルトヘイトの歴史を象徴的に伝える。
出典:『Apartheid Museum Segregated Entrance』-Photo by Justin Hall/Wikimedia Commons CC BY 2.0より
南アフリカといえば、かつてアパルトヘイト(人種隔離政策)が続いていた国。
しかし1994年、ネルソン・マンデラ大統領の誕生によって民主化が実現し、人種や民族を超えた国家づくりが本格的にスタートしました。
今では自由選挙、言論の自由、報道の独立が制度として保障されており、アフリカの中では政治的に安定した国のひとつです。
もちろん課題は山積み(格差、失業、犯罪など)ですが、“民主的なしくみの上で問題と向き合っていく姿勢”が、社会としての成熟度を高めているとも言えます。

モダーフォンテン付近を走行するハウトレイン
ヨハネスブルグとプレトリアや空港を結ぶ高速鉄道で、都市圏の移動を支えるインフラの近代化を示す。
出典:『Gautrain passing Modderfontein』-Photo by Ossewa/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
南アフリカの都市部では──
特に「ハウトレイン(Gautrain)」と呼ばれる高速鉄道は、アフリカの中でもかなり先進的で、観光客やビジネス客にとっても安心して使える交通インフラとなっています。
ちなみに、「社会が発展している国」としては、以下のような国々もよく名前が挙がります:
ただし、これらの国々は面積や経済規模が南アフリカより小さく、全体としての社会インフラや多様性の対応力では、まだ南アフリカに一歩譲るところがあるかもしれません。
アフリカの中で「社会が一番発展している国」として南アフリカが挙げられるのは、経済力だけでなく、教育・医療・政治制度・都市機能など、バランスよく発展してきたからなんですね。もちろん課題はありますが、それを乗り越えてきた経験と多様性の包容力こそが、南アフリカの本当の強みかもしれません。
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